2012年01月18日(水)

寒い日が続きますが、誰に聞かれてもいないのにSFの話を適当にします。

この前、ライフハッカーというサイトで興味深いものを読みました。人の記憶は完璧ではなく、その場その場で適当に偽造しているというものでした。

その記事によると、脳というメカニズムは、必要なところはキチンと覚えていますが、残りの部分はポイントポイントを押さえているだけで、テキトーに頭の中に納められているというのです。過去のことを思い出す時は、頭の中の断片的なデータをかき集めて、瞬間でひとつに編み直すらしいのです。ところが、なにせ完璧に覚えている訳ではないので、ところどころ開いている記憶の穴を、その場で自然にテキトーに埋めちゃうんだそうです。

たとえば、財布から出てきた昨日のコンビニのレシート。これを見て、その買い物の様子を思い出すとしましょう。昨日のことです。きっと、それなりに思い出せることでしょう。レシートは心強い手がかりになるでしょう。

昨日は寒かったから、会社の帰りに豚饅を買いに寄ったんだった。いつもみたいに雑誌売り場に行って、そこからドリンクの前を通って、今日の朝食べたクロワッサンを手にとって、で、レジのいつものおばさんに豚饅頼んで……

なかなか詳細に思い出せるかも知れません。でも、その行動は、コンビニの防犯カメラに写っている事実と比べると、違うところがたくさんあるでしょう。

では、先ほどのレシートを、嘘のレシートにすり替えてみましょう。例えば、5つの買い物のうち、1つだけ違うものに変えてあるレシートです。それでも、結構、思い出せちゃうんじゃないでしょうか。勿論、これは事実ではありません。

自分が体験していない事から、過去を思い出す行為は、記憶ではありません。創作です。でも、その創作は、脳の記憶のメカニズムが行っているのでしょう。

意識的に出した偽のキーワードからも、過去を思い出す事も出来るでしょう。浮気がバレそうになった時、浮気相手とは会わなかった昨日の出来事を、思いだす事が人間には出来ます。

そして、事実ではない事を意図的に思い出す能力をもってすれば、未来を思い出す事も出来るでしょう。記憶のメカニズムが、未来のキーワードの隙間を、過去を思い出すように捏造してくれるはずです。

先ほどのサイトの記事によると、ある研究者は「記憶の仕組みは未来を想像する過程と似ている」と言っているそうです。

昨日あった出来事を思いだす事と、10年後、100年後の未来を思い出す事は、とても似ているのかも知れません。

少なくとも、昨日の昼ご飯を思い出せない僕は、1週間前の記憶を引っ張り出すより、10年後の話をテキトーにでっち上げる方が楽そうに思えます。